
類稀な伝説的な存在カシミールサファイア
サファイア(ギリシャ語やラテン語で『青』という意味)はその語源となったブルーをはじめピンクやイエローなど一言にサファイアといっても、色や産地も様々です。
宝石には、その美しさと稀少さ故にいろんな伝説があります。
ゴルコンダ(インド)のダイアモンドやモゴック(ミャンマー)のルビー、ムゾーにチボール(コロンビア)のエメラルド、そしてカシミール(インド・パキスタン国境地域)のサファイア等、いずれも類稀な伝説的な存在といえるでしょう。
現在、モゴックのルビー、チボール、ムゾーのエメラルドは石の産出は年々減少しているものの、それらの美しさを十分実感できるほどの流通量は確認されています。ところがカシミールのサファイアをなるとどうでしょうか?宝石の専門所ではコーンフラワーブルー(矢車草)云々と、その独特な色あいについて必ず言及されてはいますが、写真や詳しい資料のない場合が大半で、多くの宝石愛好家やジュエリーコレクターの欲求不満を掻きたてるばかりです。カシミールサファイアそのものが一般市場に出ることもありませんから、伝説というより、もはや幻の宝石であるといえます。まさに幻のレアストーンです。
息ののむほど美しいブルーサファイアとはどんな色?

カシミールサファイアのブルーは比類ない美しさを持ち、色合いの濃い石でも淡い石でも、それを目にした幸運に恵まれた人々は『一度目にしたら忘れられないブルー』と口々に言います。『一度目にしたら忘れられないブルー』は最高級とされるコーンフラワーブルーを始め、石全体に明るくて柔らかなブルーの色合いが広がっている特徴を持っています。石の品質や大きさに関わらず、『カシミールサファイアを見たことのあるひとは世界中でも一握りの人しかいない。』というのが現実であり、まさに『幻の宝石』(幻のレアストーン)と呼ばれます。世の中の大多数の人々は、一生かけてもカシミールサファイアに一度も出会えないまま一生を終えることになるでしょう。
カシミールサファイアの産出と歴史

カシミールサファイアがこの地で発見されたのは1881年、山崩れで露出した標高4500mパッタール渓谷の中に青い結晶が見出された時とされています。結晶の発見は村人の興奮をも巻き起こしました。しかし当時はそれが何であるのか正体がわからなかったので、はるばる峠を超えてやってきた行商人たちとしぶしぶ同じ重さの塩に交換したとのことです。
やがて、インドの大きな町シムラへ行商人がこれらを運んだときに、その青い石がサファイアであると鑑別され、1882年末には宝石商の一団が宝石質結晶のロットにおよそ9万ドルを支払いました。もう既に良質のサファイアの結晶が豊富に供給され始めていました。
そして、まもなくカシミールのマハラジャが鉱山の所有権を主張し、1883年には軍隊を派遣し村人を締め出して、鉱山の運営を始めました。1887年にインド地質調査会のために当地の地質調査を行ったフランスの鉱物学者ラ・トゥーシュは大きさが12.5×7.5cm、数千キャラットもある宝石品質のサファイアの結晶を何個か見たといいます。

またクリケットのボール(直径7cm程)より大きい球形のブルーサファイアの結晶や、20ct以上あるカットされたブルーサファイア、さらに政府の役人が持っていた大きな原石等々、まるで息をのむような逸品がカシミールとジャイプール王室に所蔵されていたとのことです。ラ・トゥーシュは鉱山の下に崩落した堆積にも注目し、採掘の結果933ctの大型の結晶を発見しました。カシミールからはそれ以降これほど大きなサファイアの結晶がみつかったという報告はされていません。それから1906年には堆積した漂砂鉱床からいくらかの上質な結晶が見つかり、翌1907年から1951年まで間欠的な採掘が行われて、合計で2万トン弱の結晶が採取されました。しかしその結晶は小さく、上質なものはごくわずかでした。以降、カシミールでの本格的なサファイアの採掘は行われておりません。
その後、同地域は現在に至るまで断続的に紛争が続いている影響もあり、ごく微量な採取の可能性すらあるや否やです。標高4500mという地理的な条件と、インドとパキスタンとが軍事的な衝突状態にあるという政治的な条件とが重なり、長い間この地の本格的な調査をすることも同様にかなり難しそうです。現在市場に出回っているカシミールサファイアは、過去に作られたジュエリーから石を外されて還流品や昔採掘された保存されていた原石(ラフ)から研磨されたものが大半ですが(ユアエメラルドで販売しているカシミールサファイアは後者)それでも世界中でカシミールサファイアの市場価値は高く評価されています。このヒマラヤという高地でどのようにしてこの幻のカシミールサファイアが生まれたのか・・・
この宝石の誕生のロマンは広がります。カシミールサファイアの誕生それは、まさにヒマラヤの奇跡といっても過言ではないでしょう。
カシミールサファイアの魅力と鑑別
基本的にカシミールサファイアの特徴といえば、その一つとしてヘイジーインクルージョンがあげられます。これにより石全体がやや霞んだ感じにも見えたりしますが、最大の長所として石のファセットの相互反射等による影の発生が抑えられ、通常のサファイアのように石全体が暗くならず石全体に明るく色合いが広がるという効果があります。それは、カシミールサファイア独特の色合いと相互的に大きく影響しあい、色の濃淡に関わらず、石全体に柔らかに色が広がる結果、カシミールサファイアがこれまで、世界中の人々の目を虜にしてきた大きな要因です。また、カシミールサファイア独特の色帯構造も鑑別上の重要な要素といえます。その他、カシミールサファイア独特の鉱物インクルージョン等総合的な判断が下され、カシミールサファイアの鑑別および、産地特定が行われております。
当店ユアエメラルドのカシミールサファイアは他の産地のサファイアでは見られない石全体に柔らかな色合いが広がる非加熱のブルーサファイアを店長自ら石を厳選してインドより直輸入いたしております。世界中の人々の目を虜にしてきた幻のレアストーン『カシミールサファイア』をぜひ一度ご覧くださいませ。
カシミールサファイア商品一覧